25 January


 停車場前で頼んで置いた荷物も届いた。夫婦は未だ汽車で動られているような気がした。途中から一緒に汽車に乗り込んで来た夫婦ものらしい人達は、未だ二人の前に腰掛けて二人の方を見て、何か私語き合っているらしくも思われた。あの細君の大きな目--------あの亭主の弱々しい、力の無い眼--------そういうものは考えたばかりでも羞恥の念を起させた。二人は人に見られて旅する事を羞じた。どうかすると互いに顔を見ることすら避けたかった。

 (島崎藤村『家』より)


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02 January

2017 頌春


 私はというか、妻と私の我が家は特に正月らしい事はここ十数年何もしていない。朝もいつも通りトーストかサンドイッチを食べ、私が休みの日と同様に18時頃に晩酌をする。正月らしいといえば、DVDで『大脱走』か『男はつらいよ』を観る事くらいだが、今年はそれもしていない。昼過ぎに昨年事情があって遅れた仕事を少しでも前に進めようと音源の編集に取りかかるが、正月だから、という心持ちもあるのだろう、時間もそこそこに作業方針の整理のみにとどまり、机の上にある本の頁を少しだけ読み進む。島崎藤村『家』、30年程前に読んだものだが、昨年末に再読しようと本棚から取り出したものである。無骨な文体だがその簡素さの中の情報量は多く、一つの文は必ず復読しているのでなかなかに読み進まないのだ。

 昨年は割と図書館を利用し、25冊ほどは読んだか。内3冊程は音響と電気に関する専門書。あとは購入したものを含め、歴史書と小説と社会ルポだった。
 一昨年の冬に島尾敏雄の再読をし『夢の中の日常』に改めて驚き、昨年じっくり読んだ『魚雷艇学生』その素晴らしさに再読といえど読み終えたくないくらいだった。『明けの赤馬』古井由吉、現代日本文学最高峰とも言える文章家は、やはり静かに光る作品。それからついに読み始めてしまった『橋の無い川』住井すえ、まだ第一巻だが、この先数年かけてよみ続けるであろう。一昨年についに30年の禁を解き(自分がまだまだここに踏み入れたくないという意思があっただけだが)読み始めた埴谷雄高『死霊』は昨年は進む事はなく、おいておいた。ゲイリー・スナイダー『子供たちの為に』これは常に傍らに置いておきたい本だ。ブルース・チャトウィン『パタゴニア』も再読し、これもスナイダーしかり。

 近くの図書館では時折、廃棄本を無料で配布している。中東とイスラエルの歴史関係の本は、そのおかげで読む機会が増えた。数冊読んだだけでは把握しきれないのが私の今のキャパシティだ。そう言えばこの図書館の廃棄本のにカーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』を発見し、これは私の本棚にもあるが、大好きな本なので救出し、本のプロとも言えるM氏に進呈した。

 昨年のある時、酒場で沖縄を巡る政治的な話で後味が悪かったので、その関係の本も図書館で借りた。『沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか』安田浩一、これは冷静なジャーナリズムに則った良書。

 最近の小説も読んでみようと『山女日記』湊かなえ、期待していなかったが、読み進みにつれ引き込まれた。

 島崎藤村は読んでいない作品もあるので、そこに行くか、はたまた夏目漱石の再読か読んでいないものにいくか、大学時代に嵌った後藤明生の再読か、まあ静かな読書の日々は今年も相変わらずであろう。

 しかしレコードは年間200枚は聴くが、本は25冊程か。まあ数ではないのだが。

 そうそう、最近電車の中で紙の書籍を読んでいる人は増えているのではないかな。 

         
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07 June

ERIS


 高橋健太郎さんが編集長を務める音楽誌ERISに寄稿しました。

 http://eris.jp/

 電子書籍版は登録すれば無料で読めます。

 Ry Cooder/JAZZについて書きました。ツアー中、外に飲みに出る事も無く、ホテルの部屋で仕上げました。検索は殆どしないようにしていましたが、Youtubeは検索しましたね。便利な時代だと痛感しました。
 内容としては、私が酔っぱらって吉祥寺ハバナムーンで木下君に喋っている事をまとめたようなものですが、きちんと原稿にするといささか流れが変わってきたりするのもまた面白いものです。

 先程、Facebookで評論家の五十嵐正さんから、77年にライ・クーダーがジョセフ・スペンスに会いに行った事実を聞き、驚いた次第ですが、そんな事を知っていたら、妄想も広がるばかりで、これまた違う内容になっていたかも知れません。

 また、これは単にJAZZ当初の予算から、無理だったのかも知れませんが、クーダー、バード両氏ともにもっと大編成のものは考えには無かったんでしょうかね。

 しかし、ただでさえふくれあがった初稿を編集長の指示でかなり削る事になったので、上記の想像を膨らませていたら、またまた大変な事になっていたでしょう。

 まあ他にも想像は尽きないこのアルバムですが、ハバナムーンのカウンターでほろ酔いで聴いているのが良いのですよ。誠に単純にやっぱり米盤のエンボス加工(私のアナログは日本盤なので平面)いいな、なんて思っている訳です。


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19 March

YES


 私の家内である桜井李早が本を出版しました。

 

 YES 桜井李早著 MARU書房 1,500円


 彼女のブログを読んでいる方は周知だと思いますが、手前味噌ながら、素晴らしい文章です。また、装丁もシンプルかつ美しく、思わず手に取りたくなるようなものが出来ました。pocopenさんと鈴木慶一さんが本書に文章を寄せて下さいました。
 
 まだまだ、取り扱っている店は少ないので、通販をしております。私に直接メールをいただいても構いませんが、ここで迅速に対応します。

 よろしくお願いします。

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02 January

YES


 家内が昨年より、本を出版すべく作業を続けていたが、年末に出版社が決まり、急展開で事が運び出した。それまでは自分のペースで推敲をしていたようだが、ここに来てスケジュールも具体的になり、作業も急ピッチの様子。

 私はと言えば、CDの作り方はわかるが、単行本となると、これは全く見当がつかない。なので、彼女にいろいろ相談を受けても、まともに応えられない。だが、出版元M書房M氏の短期間でのちょっとしたアドバイスで事は大きく進み、表紙のデザインの第一稿カバーが、とある別の本につけられている。その仕事の早さはさすがプロだ。

 で、その、とある本とは『バーボン・ストリート・ブルース 高田渡』。本のサイズと頁数等からの参考なのだが、これはM氏大手出版社時代の最後の仕事。しかもサイン本だった。

 実は、この本をちゃんと読んでいなかったので、先程から読み始めたのだが、渡さんらしい語り口に笑いながら、2/3くらい読んでしまった。

 渡さんのお宅には二度程行ったことがあって、その時の事を思い出した。一回は漣君も一緒だったので、微妙に居心地が悪かった気もする(笑)。

 『タカダワタル的』のイベントで漣君、権藤君と私の三人で演奏したことがあった。なんて話を昨日、権藤君と話したばかりだった。

 49年1月1日生まれだから、還暦か。


 

 


 さて、桜井李早著『YES』本になるのはもう少し暖かくなる時期だろうが、内容を垣間みたい方は、voix du soir へどうぞ。

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