Archive for 23 April 2020

23 April

monaural 3


 さて、モノラルの件の続き。結局、一つのスピーカーを新たに設置することにしたのだが、まず手持ちの中から選定。タンノイM20、デノンSC-E212、ギターアンプ用のジェンセンC10Rとこれまたギター用に使っているダイアトーンP610DB。タンノイはバスレフ2way、デノンは密閉2way、ギター用は共に後面開放である。通常であればP610DBを適切なエンクロージャーにつけることが望ましいであろうが、まず1スピーカー設置でどこまで追い込めるのか、色々試したかったのだ。リファレンスはアナログがベスト・オブ・マディ・ウォーターズ、ハーブ・エリス / Nothing but the blues、ビートルズ / ラバーソウル(全て日本盤)、CDがブロッサム・ディアリー / Give him the ooh la la、ニッポンジャズ水滸伝 天之巻、キンクス / ヴィレッジグリーン。CDもリファレンスに入れたのは確実にLRが同じだからである。
 そして結果。一番モノらしい気分はC10Rだが、職業柄かもう少しクリアさと上下レンジが欲しい。P610DBはやはり容量、バッフル板の不足は一聴瞭然。SC-E212は気持ちは良いがちょっと高域が落ち着きすぎ、ものによってはミドルが抜けない感じ。M20はモノらしい気はしないのだが、それは慣れか?結局ハーブ・エリスのコリッとした部分が出ていたM20に決定したが、ブロッサム・ディアリーの一曲目のベースには遅れをとっている感じで、これはSC-E212の方が好みか。(この二枚偶然にも1957年録音でエリスとレイ・ブラウン参加)
 それにしてもChessのいくつかアルバムがステレオになっている事に今更ながらに気づき愕然とした。所有のベスト・オブ・マディ・ウォーターズは日本ビクターのモノラルだが、40年代後半から50年代にかけての有名曲は本当に素晴らしい。特にベースのビッグ・クロフォードとのデュオはなんと斬新でクリエイティビティにあふれていることか。そしてこの驚きはモノラル1スピーカーでないと味わえないと断言できるほどだ。

 先日のモノラルカートリッジの件、ちょっと分かり難かったかと思うので、ちょっと追加。ステレオが開発されてからもモノラルは10年ほどは一般的だった。モノラルしかない頃は、左右同等の溝を刻むことができたが、ステレオ開発以降(もちろんメーカーによるが)ステレオも作ることができる機器でモノラルのマスターを作っていた可能性が高い。となると復刻ものはもちろんのこと、オリジナル盤でも年代によってはその可能性が高い。なので、モノラルでも溝の形成に上下の運動が加味されるかもしれないのだ。真のモノラル・カッティングは左右の溝が完全に同等。であれば上下振動がほとんどない、SP針のようなカンチレバーが望ましいのではないかと思うのだが、現行の商品では見当たらず、もうヴィンテージオーディオの世界になるが、LPはともかくEPはそのあたりの違いは如実に出るであろう。ただ1958年以降盤によってその違いを知ることはこれまた難しいに違いない。


23:50:00 | skri | No comments | TrackBacks