Archive for 08 October 2020

08 October

Prinston Reverb


 3年か4年前、スーマー『泥水は揺れる』、カルメン・マキ『デラシネ』、tonco『Noseguy』この3枚どういう順番だったかは覚えていないが、これらは全て入間 guzuri recording house での録音で、私は自分のプリンストン・リヴァーブをキッチン前の片隅にセッティングして録音をした。この頃、既にこのアンプは不調で一時間ほど電源を入れてからではないとノイズが多く使えなかったが、所定のウォームアップを過ぎると絶妙のトーンで答えてくれた。それこそ壊れる寸前の美しさがあった。
 ただ、その後は持ち運びやすさもありヤマハJ25にエミネンスのヘンプコーンの組み合わせがなかなかに気に入り、ライヴではよく使っていたし、録音ではさらに小さいヤマハJ15やテスコ71Cも出番は多かった。で、久しぶりにプリンストンを鳴らしたら、やはり格が違う。が、そう感じたのもつかの間で、ああ、逝ってしまった。

 電源を入れて時間が経つと正常になっていたということは、真空管の不具合とは考えづらい。自分では直せないので、エアガレージ行き。やはりコンデンサの類だったのだが、あの一番大きい電解コンデンサが原因だった。が、この部品は今はなく、リイシューのプリンストンの様にコンデンサを複数つけた修理となった。

 まずはトーンは戻ってきたが、この際だ、できる限りきちんと手を入れることにした。

 1)掃除
 エアガレージから戻ってきて音を確認したら、バラしに入る。なので徹底的に掃除。60年近い数々の汚れと錆び。グリルクロスは洗剤とたわしで洗濯。

 2)バッフルボードの交換
 実はオリジナルの10インチスピーカーのバッフルボードに12インチを装着していたのだ。パイン合板(縦合板。ギターでいうとプライ)をホームセンターで12インチにくり抜いてもらい、軽くオイルステインで着色。

 3)電源ケーブルの交換
 1963年オリジナルの電源コードはなんとも頼りないものだが、この良さもあるはずと思っていて、変えていなかったが、いつでも戻せるのでベルデン19364に交換。プラグはとりあえずマリンコにしてみた。結線は簡単だが、バックパネルの穴を広げるのにかなり時間がかかった。

 4)ステップアップトランスの購入
 既に使っている100V→117Vのトランスは自宅機材用にセッティングして、新たにプリンストン用に購入。悩んだ挙句にサウンドハウスより割高だが、群馬県のアテネ電機に発注。これが素晴らしい。重いけど。

 5)スピーカーの交換
 FANEのアルニコブルー12インチは長年使っていたし、セレッションの同型よりも好みだった。しかし許容入力は100W。たかだか10Wくらいの出力のプリンストン・リヴァーブでは数値としてバランスが悪い。十年ほど前に不具合でしまっていた1963年(多分)のUSA Jensen P12Qを直してくれる工房が割と近くで見つかり、修理依頼。ヴォイスコイルの不具合で、もちろんリコーン。エイジングには時間がかかるが、一聴、現行Jensenとは比べるべくもない綺麗な澄んだ音。ヴォリューム1.5くらいでも違いがわかる。これは楽しみだ。

 と、ここまで二ヶ月くらいの道のり。しばらくこれで鳴らしてみるが、真空管にも手をつけることにもなるかな。

 昨日は渋谷公会堂で収録だったがほとんどがアコースティック・ギター。エレキは一曲のみだったが、アンプはテスコ71Cをフルテンで使った。公開詳細は後日。


 
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