01 November

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の十一●


 14. Mountain Hymn #1

 こういうタイプの曲は過去にいくつか作っていて、Strada/Texas Undergroundの第三楽章や野戦の月/バンブーゴスペル等と自分の中では同じアプローチと言える。John Fahey「Of Rivers and Religion」とRy Cooder「JAZZ」がヒントだと云う事は言うまでもない。まあ、真似みたいなもの。
 
 テンポ遅い前半部を後から作ったのだが、これはThe Band/River Hymnがヒント。なので、仮タイトルでMountain Hymnと名付けた。River Hymnはテンポが変わるところで効果的にマンドリンが入るのだが、ちょっと真似てみたら今ひとつだった。

 この頃、作った曲はHymnという仮タイトルのものが3曲程あって、これが#1、#2は発表していないが、#3を作り直したものが野戦の月楽団/Strait and poison hymnだが、これはもう作風が大分違う。

 ピーターバラカンさんのテレビ番組に出演の際、一曲だけ収録時間の都合で演奏曲目がなかなか決まらず、アイルランド民謡のシーベック・シーモアをやろうと思っていたところ、土壇場でこの曲のテレビ用アレンジをして、収録日の早朝リハーサルをした。そのリハーサル中にやってきたバラカンさんは開口一番「どこにでもありそうな良い曲だね」といった。これは私にとって最大の褒め言葉だ。

 もともとクーダーやスペンスにならい、dropped Dかopen Dチューニングでやっていたのだが、録音中何も考えずにレギュラーチューニングでやってしまい、それでOKテイクが録れてしまった。ここ最近のライヴはもうエレキで弾く事が多いが、自分では楽器を選ばない大きい曲が出来たと自負している。


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21 April

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の十●


 そろそろ、3rdアルバムのテキストをアップしようと思っていたのだが、2nd分が実は終わっていなかった。大分前に下書きを書いたのだが、ファイルが見当たらないので、書き下ろすことにした。


 13. Shady Grove

 New Lost City Ramblers「there ain't no way out」所収曲。結構何気なく取り上げた曲だったので、さしたるヴィジョンも無く録音した。松永さんのヴァイオリンさえあれば、それで良かったとも言える。なので、それ以外は完全にいろいろ遊んだあげく、このテイクが出来上がった。
 ただ、遊びすぎて、音像が他の曲とはちょっと違ってしまい、マスタリングで苦労したのは憶えている。私が叩いているタンバリンは自宅のベランダで録ったのだが、あたりまえだが、日常のノイズが満載なのだ。でも、その辺りは、高橋健太郎さんがマスタリングでうまく収めてくれた。
 松永さんが弾いているヴァイオリンは当時の福岡史朗君のスタジオ(box&cox studio)にたまたまあったものを使用。doorというクレジットはダビング中に扉を閉めた音で、偶然入ってしまったもの。
 
 でもなんだかんだ結局、アルバムタイトルをつける際に、気になった曲なのだ。

 ちなみに、松永さんはヴァイオリンを持っていないので、この曲をライヴで演奏することはほとんどない。(二度程やったが、借り物だったのだ)

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31 May

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の九●


12. Deep River

 作者はHarry Thacker Burleigh(1866-1949)、アフロアメリカンの作曲家及び歌手。この曲や「Nobody Knows the Trouble I've Seen」が代表作とされている。

 かれこれ20年位前になるが、Fats Waller 1939年の録音『FINE ARABIAN STUFF』というアルバムで私はこの曲を知った。Fats Wallerといえば、「ストライド・ピアノ」と言う言葉がすぐに頭に浮かぶが、それと同時にジャズにオルガンを持ち込んだ第一人者でもある。このアルバムはA面がピアノの弾き語り、B面がオルガンの弾き語りという構成になっており、この曲はB面に収められている。他には「Swing Low,Sweet Chariot」や「Frankie and Johhny」「Oh Susannah」等、有名曲が目白押し。

 ここでの「Deep River」はスローテンポなのだが、ちょっと小唄的感覚。ふとした時になんとなく口ずさんでしまう感じなのだ。そして、この曲を知っていたおかげで、大分経ってからだが、Grant Green版に出会う事が出来た。スピリチュアル集『FEELIN' THE SPIRIT』所収だが、実はアナログ盤には入っていない。かくいう私もアナログを愛聴してきたので、CDを買い直そうとは思わなかったのだが、ある日、ふと何故かCD店で手に取ってみると、ボーナストラックなのか「Deep River」が入っている事を発見し、購入。9分近くある演奏だが、この頃は幾度となく聴いていたのもだった。

 その後、ロンサム・ストリングスで取り上げるべくアレンジを施し、録音に入る。ダビングも必要無いし、4人で一発でやれば、すぐにOKテイクが録れるだろう、と思っていたのだが、これが難しい。全ては私の責任。やはりこういう曲は演奏しているとついつい盛り上がってしまう。テイクは何度も重ねた。悪いところはわかっているのだが、私のカルマ落としの為とも言える。タイムリミットも近づき、最後にテーマだけの短いバージョンを静かに録音。これがうまくいった。これを収録してもいいのでは、と思ったくらいだった。そして翌日、再び、通常サイズで録音。うまくいった。カルマが落ちたのか。いや、疲れが出ていたのかもしれない。

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24 May

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の八●



11. パールハーバーブルーズ(pearl harbor blues for World Standard)

 2000年の夏に作曲したもので、英語タイトルにもあるように、もともとはワールド・スタンダード『Jump For Joy』の為の作品だった。が、選曲からはオミット。(アルバート・アイラーのGhostsのソロギター演奏版が採用された)その割と直ぐ後にロンサムストリングスのはじめてのライヴ(1st先行発売)があったのだが(ものすごい豪雨の日で集客がさんざんだったことは良く覚えている)そのライヴでは既に演奏しているので、バンドのレパートリーとしては最も古いものの一つということになる。
 なので、録音は速やかに終了。少しだけダビングを施してはいるが、基本的には同部屋一発取りでほぼ完成。私のリクエストに答えて玄さんがアドリブパートをラップスティールに差し換えてくれたのだが、テイク1とテイク2、どちらも甲乙つけがたく気持ち良い。その後、テイク選びに苦労した。
 
 もともとのデモテープ版を聴き直したところ、これが結構面白い。乾いたうちこみのチープなドラムと歪んだエレキギター、深いリバーヴのラップスティールだけで成り立っていた。
 ただ、作曲した時は私なりのスラックキー。だから一応タロパッチ・チューニング。10分程でほぼ出来上がった曲だったと記憶している。

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27 April

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の七●



10. garcia

 もともとはアルバムに収録するつもりでは無かったのだが、ほぼ八割方録音が終了した時点で、曲順なんぞ考えていたら、アコースティックの小品が欲しくなり、自宅にて録音。
 曲は2001年に鈴木惣一朗氏に渡したデモ・テープに入っていたのもので、作曲もその頃。その後、関島岳郎氏とのデュオで何度か披露した後、曲をいろいろ膨らませたり、違うパートを書いたりもしてみたが、ほぼ当初のデモと同じかたちで録音。結局、極シンプルにソロ演奏。ミックスもマスタリングもほぼ何もしていないに等しい。
 全く難しくない曲だが、録音自体は少し手間取った。自分の思い描いている音で録音出来ないのだ。音決めまで二日程かかった記憶があるが、結局、追い込めたとはいいがたい。が、他にチョイスもない。自宅の機材、音響、と私の録音テクニックでは無理もない。とはいえ、今聞くと、そう悪くは無い。何か小さな事にこだわりすぎていた気もする。
 一応、書き留めておくと、理想はアグスティン・ペレイラ・ルセナ。

 時々、garciaとは誰かの事?と聞かれる事があるが、そういう時は照れ隠しにJerry Garciaと答えている。嘘では無い。でもガルシア・マルケスでもガルシアの首でもマリナーズにいたピッチャーでもかまわない。RAUL GARCIA ZARATEの影響があると自負しているが、プレイは似ても似つかないものなので、ライヴではエレクトリック・ギターで弾いている。


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