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11 June

CHESS


 アメリカの黒人音楽に興味がある方なら、Chessレコード(Checker, Cadetレーベルと前身Aristocratも)はとても重要で避けては通れないことくらいは重々承知であろう。私のレコード棚にも多分50枚くらいはある。そしてその内ブルーズと呼ばれる音楽が30枚くらいであろうか。
 少し前にふとAlbert King, Otis RushのカップリングのアルバムDoor to Doorを聴いていた。久しぶりにジャケット裏のクレジットを読んでみたのだが、殆どが1960,61年の録音だが、アルバート・キングの1953年の録音も3曲ある。そして気になる記述が以下。” ELECTRONICALLY ALTERED TO SIMULATE STEREO ”。要するに電気的に作られたステレオで、いわゆる擬似ステレオというものだ。と言う訳で、所有のChessの白黒写真ジャケットのブルーズマンのレコードを確認してみたら、ほぼステレオだった。これはピンク水色ラベル、オレンジ青ラベルの米盤、その前の水色グラデーションを模した仏盤だ。唯一の例外がHowlin’ Wolf『EVIL』でこれは『Moanin’ in the Moonlight』の再発で曲順違いで所有のものは、オレンジ青ラベルだが、モノラル。それから、P-Vineからの国内盤『Drop Down Mama』もモノラル。チャック・ベリーやボ・ディドリーのP-Vine盤もモノラル。その昔のビクター国内盤のMuddy Waters、Little Walterはモノラルだった。

 が、話はいわゆるChessのブルーズのレコードに絞ろう。大体のChessからリリースされたブルーズの録音はシングルが中心だ。Muddy Waters、Howlin’ Wolfが二大巨頭で言えば、Watersは1960年の『sings Big Bill』があるが、その後もシングル寄せ集めを出している。Wolfは1968年の『This Is Howlin’ Wolf Album』(当時ブルーズファンには酷評だったようだが、全音楽を通じての大名盤)からで、要するにChessは60年代後半までブルーズはシングル中心だった。

 ところが、それをアルバムでまとめる際に年代によって1stプレスはモノだったようだが、私が持っている70年代の再発は全て擬似ステレオと言っても良い。正直言ってかなり音がぼやけている。アンサンブル・ステレオを意識して奥行きを出そうとの処理だが、今では逆効果としか言いようがない。

 だったら1stプレスを探してみようと検索してみると、モノによっては60,000円くらいの値で出ている。オリジナルはEPだろう、と毒づきたくなる価格だ。

 さて、CDはどうかとステレオのアナログも持っているJimmy Rogers『Chicago Bound』を1スピーカーで聴いてみたら、こちらの方が遥かに良い。そして昨日『Moanin’ in the Moonlight / Howlin’ Wolf(Rocking Chair Album)』の中古CDを350円で買った。94年くらいのMCAの日本盤だがモノだ。Evilと曲順が違うので印象が全く違うが、悪くない。所有の『Evil』はモノラルだが、オレンジ青ラベルのものなので、初回プレスには及ばないことは想像に難くない。正直CDの方がダイレクトに響くのだ。もちろんオリジナルのシングルが凄いことであろうが、オークションで3〜4千円のステレオのアナログを買うよりは3〜4百円のCDをお勧めする。

 とは言え、やはりシングル盤は気になるのでオークション等覗いてみたが、ものによっては案外安価だ。とりあえず1〜2枚手に入れてみようと思うが、その前にモノラル針を注文した。ただ届くのはまだ一週間以上も先だ。

 さて明日12日は久しぶりのライヴ。

23:29:00 | skri | No comments | TrackBacks