Archive for 16 May 2008

16 May

生声


 連休明けから、ここ数日、やらなきゃいけない事はあるのだが、割と時間があった。制作中は一心に迷う事無く突き進んでしまいたいものでもあるが、多少、時間の余裕があると、あえて寝かせてみたくもなる。が、一昨日より、先の日程を考えてみたら、全然余裕が無い事に気がついた。いつまでたっても情けないが、余裕と言う言葉は、無い時にしか出てこない。


 数日前、湯川潮音ちゃんのソロコンサートに足を運んだ。初めてのソロでのワンマン。実は、先々月あたりにサポートの打診もあったのだが、「弦とわたし」ツアーの後は弾き語りをしっかりやってみたい、というような事も言っていたので、その事を大いに薦め、ただ、絶対観に行くからな、と彼女に告げた。
 
 それが、先日の池袋・明日館でのコンサート。私が会場に着いた時には、既に始まっていたのだが、この会場は趣がある古い講堂で、開演中も窓から中の様子がうかがえる。弾き語りなので、なるべく物音を立てないように入場すべく、外からステージの様子を覗いていたのだが、音が何一つ聴こえない。彼女の様子から、MCの最中だという事を察知し、中に入ると、なんとノンPA。あまりライヴでは使わないようなマイクがセッティングされていたのだが、それらは全て、録音用だった。

 私が案内された二階席は、観やすいのだが、この状況では、音は少しぼやける。が、その分かなり耳を澄ませた。なにより彼女のペースがとても身近に感じられ、集中しながら、笑いながら、歌に聴き入った。

 とある曲では、ギターのカポタストの位置が、大幅に違って、かなり高いキーになってしまったりしたようだが、ここ最近の彼女の歌の安定度はそんな問題は軽くクリアーし、逆にこれまでよりもおおらかさを感じた。

 そしてアンコール、もう彼女のペースは完全に私の部屋感満載で、客席にリクエストを聞いてみる。不思議なもので、こういう時のリクエストはあんまりやった事が無い曲だったり、難しい曲だったりする。私は笑いながら、席を立ち、アンコールなので一階の入り口近くに場所を変えてみた。こちらの方が少しだけ音にざらつきがあり、リアルに響いた。潮音ちゃんはアンコールの最初数曲はギターも弾いていたが、後はアカペラ、しかも歌詞を憶えていなくても、歌っている。あっぱれ。もしや最後は酒の席での演歌調の即興までいく気か、とまで思ったが、最後は美しく「緑のアーチ」でしめてくれた。


 



 終演後スタッフ含め、皆、池袋はよく解らないと言うので、西口の飲屋街の大衆居酒屋T田屋に飲みにいく。ここは半年前ホッピーを随分飲んで、右手に痺れを憶えた店だが、潮音チームの女性陣は酒に関しては完全に親父なので、思いつく限りではここしか無かった。
 まあ、程々にという感じだが、潮音チームは彼女を筆頭に総じて酒が強い。なので私としては、話の内容に問わず楽しい。

 しかし、この日のコンサートの彼女の歌声はいまだ脳裏に焼き付いている。こんなことはさほど多くは無い。
 10年後くらいにもしかしたら彼女はリリーみたいになってるんじゃないかと思うと、頼もしく感じて、嬉しくなった。

23:55:00 | skri | No comments | TrackBacks