Archive for 27 August 2005

27 August

マジョルカにて 1


 正直言って、そんなに良い所だとは思えない。特にこの時期は。

 ここマジョルカ島のパルマ・デ・マジョルカはこの島一番の都市。とにかくこの時期は観光客で賑わいすぎているくらいで、人も車も船も多い。ヨットハーバー周辺の道は気持ち良さそうに見えるが、歩いてみると船と車、双方の排気ガスが多く、空気が悪い。
 なんとなく熱海に似ている。写真で見ただけだが、ハバナの市街地を伊豆半島の付け根に持ってきて、ヨットハーバーを作れば、この街にかなり近いものが出来あがる。が、このホテルの湾の対岸に見える大聖堂は特別。ケルンの大聖堂の様に異彩を放っているわけではないが、街のシンボルでありながら街にとけ込んでいる。
 
 一昨日、隣街ルルクマヨールでの2時間の野外コンサートを終え、昨日と今日は完全にオフ。休みに人が多いところに行く質では無いが、ホテルのバーで海を見ながらぼけっとビールを飲んでいるだけではいつもと同じなので、少しは出かけてみることにする。
 
 昨日の夕方、大聖堂のある旧市街を散策。出かけた時間が遅かったので、残念ながら大聖堂の中には入ることが出来ず、と思いきや、いきなり正門が開く。これから結婚式が始まるようで、一般でも入場出来るとの事。ガウディが関わったといわれるこの大聖堂、威厳はあるが、なによりも温かみや優しさを感じる。そして明るい。 
 さほど待つことは無く、結婚式ははじまる、と言うかざわざわした中、何のアナウンスも無く新郎新婦入場。そして、二人の誓いの言葉らしきものが聞こえたかと思うと、神父の言葉。何を言っているかはわからないが、どんどん高揚して早口になる、なんだかゴスペルみたいだ。スペイン語が世界一美しい言葉、と言う人もいるらしいが、わかる気にさせられる。言葉はどんどんグルーブしていき一息つくと、パイプオルガンが鳴る。これがまた素晴らしく暖かい音。石の壁だが残響はやわらかく、初期反射音は些細だが、かすかに長いエコーはとても気持ちが良い。デジタルリバーブの「カテドラル」ではありえない音、思わず、携帯電話でだが録音していると、今度は十数名の聖歌隊が歌いだす。音響の所為もあったであろうが、ものすごく親密に聞こえる。
 そうか、この居心地の良さは親密感なのだ。私はクリスチャンではないし、キリスト教にも疎いが、ここではこのかすかな長い暖かいエコーのように神が私たちの隣にいる。


 

 案外、良いところだな。(笑)

20:06:00 | skri | No comments | TrackBacks