Complete text -- "ギターの話"

26 March

ギターの話


 たまには、ギターの話でも。と言うのも、下の記事のエピフォン DR 500RAのピックガードがはずれてしまったのだ。正確に言うと、自分ではずしたのだが、数日前からピックガードの糊(両面テープ)が弱くなって来たのか、片隅を爪にひっかけるだけで浮き上がる。今日、どんな塩梅か確かめてみたら、ピックガードの半分くらいまで剥がれつつある。で、そのまま少し力を入れたら、綺麗に剥がれてしまったのだ。傷1つ着かなかったが、ちょっとした日焼けの水着跡みたいなルックスになってしまった。ところが、弾いてみると1,2弦の音の太さは以前より増していて、少し驚いた。が、フラットピックでのブルーグラスっぽい弾き方は、ピックガード有りの方が良かった様にも思えた。これくらいのセルロイドの板(厚さ0.5mmくらいか)でも、やはり結構な影響なのだ。

 ところで、このギター、実は弾かずに購入した。一年半程前、ヤフーオークションで安価だったのだ。現在のエピフォンのアコースティックギターでは、最高位のマスタービルトシリーズのなかでもクラスの高いものである。昨今の中国生産の楽器の品質向上の噂は良く耳にしていたし、定価は十数万だが、オークションでは5万円でおつりが来るとあらば、と思い、入札し手に入れる事が出来た。

 さして弾きこまれた様子は無く、ほぼ新品同様だったが、オール単板で、流石にでかい音がする。ピックアップはついていないのでライヴで使った事は数えるほどだが、その時の何人かの共演者にも、音でかいね、と言われた。が、艶に欠けていた。と言うか、良く鳴る木の箱、という感じだ。

 なので、調整に出した方が良いか、と考えたが、いろいろ使っているうちに、ちょっと待てよ、という気持ちになった。

 弦高は6弦12フレットで3mmを少し越えていた。昨今、この高さはちょっと高め、だと言われるが、10年ほど前のマーチンのマニュアルでは適正弦高ではある。エレキに比べれば、ハイポジションは弾きにくいが、Gラン(調べてね)はむしろこれくらいの方が良いし、ボトルネックもまあまあ使いやすく、チューニングをオープンDもしくはモーダルDにすると、0.2〜3mmほど弦高は下がる。

 という事は、ギターとして、そこそこ適正になっているのではないか、と感じたのだ。むしろ、ここで弾きやすくするより、もう少し弾き、鳴らし、木が楽器になる為に時間をかけた方が良いのかと思った。

 もちろん、1〜2ヶ月じゃあ何の変化も無い。が、家に居ればほぼ毎日弾く。

 これは、私流のやり方だが、ピッチがかなり気になるまで弦は変えない。このギターは少なくとも半年は変えなかった。あの新品弦のタッチのギラギラが好きではないのだ。その代わり、弦が古くなってもフラットピックでブルーグラス的な弾き方を練習していた。最近はクレイトンの1.2mmのピックが古い弦でも輪郭がぼやけず、気持ちが良い。

 ツアーに出たりして、このギターを数日弾けない時は、弦を少しだけ緩めたりした。そして、今年の最初にトラスロッドを10度ほど締めた。それだけで弦高は0.7〜8mm下がったが、指板はほぼ真っすぐになり、安定して来たようだった。

 で、先週、弦を変えた。間違って、フォスファーブロンズを張ってしまったのだが、問題はなかった。サスティンは増してきた。その分、艶らしいものも感じる様になり、すこし変化を感じた。

 先日の録音を聴いてみたら、結構良い音で鳴っていた。エンジニアのKさんの力も大きいが、ラス・バレンバーグの音に少しは近づいたか。尤もバレンバーグはブルーグラス界では珍しくギブソン愛用者だけど。

 そんなわけで、Youtubeでラス・バレンバーグを検索したら、数年前のトランスアトランティックセッションで、エピフォンの同じシリーズの違うモデルを弾いているではないか。(AJっていうギブソンタイプだったと思う)

 ただ、このギターの悪い話も少し聞く。先述のピックガードが剥がれてしまった事にも共通するが、ブリッジが剥がれてしまった話は幾つか聞いた。ギターになる前の拒絶反応みたいなものか。中国生産の向上とは言え色々な面での急ピッチの歪みであろう。

 が、素材は良いし、育てる価値はある、と思った。さて、ピックガードどうしようかな。


 

02:51:43 | skri | | TrackBacks
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