Complete text -- "BLOSSOM text part 1"

07 April

BLOSSOM text part 1


 MIDIからの要望でプレス用にアルバム『BLOSSOM』の曲目解説を書いた事を思い出した。酒をなめながら一気に書いたのだが、数回に分けて載せてみよう。

 その前に少し加筆。

 アルバムタイトルは最初シンプルに『4』としていたが、3拍子系の曲が多い事もあり、なんとなくその案は却下。その後『LAND』というタイトルをつけ、ジャケットデザインまで出来ていたが、土壇場でジャケットの色や1月発売という事で『BLOSSOM』に変更。Blackberry Blossomという曲が収録されている所為もあるが、ブロッサム・ディアリーにもあやかってみた。そしてアルバム発売後彼女の訃報を知った。

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 今回のアルバムは8時間のプリプロダクションの末、個々の楽器をもっと近く響かせたい、とか、もう少しシンプルな演奏が良かったのでは無いか、とか、前作『CANDELA』がホールでの同録をベーシックにしているという事もあるので、あえてライヴに近いのは避けよう、とか、前作のミックスに相当手こずった桜井の要望、とか、単にメンバーのスケジュールの問題、等々、の理由で、プリプロダクションで録った音源のそれぞれの音を後に差し替えて録音は完了した。結果、簡単なリズムトラックを使った2曲をのぞけば、ほぼどの曲もメンバー四人の4トラック(楽器を持ち替えている箇所もあるが)で成り立っている。4枚目にして最もシンプルなアルバムとなった。


1. REMEMBER (Irving Berlin adapted John Fahey)

 だが、この曲はプリプロダクションでは演奏しなかった。当初は収録曲予定からもオミットされていたのだが、プリプロダクションで録った内の5曲を今回は見送る事にして、ライヴでよくやっているこの曲を制作終盤に録音。Irving Berlin作曲のこの曲はBillie Holidayの音源で知る人も多いと思うが、ここでの演奏はJohn Fahey晩年のアルバム(RED CROSS,DISCIPLE OF CHRIST TODAY)版を参考にしている。大好きな曲をただ演奏しているだけで、結局弾いていると盛り上がってしまう。が、エンディングで松永のメロディは何事もなかったかのようで、この曲が引き締まったものとなった。


2. 南の噂  -UN RUMOR SUR -(田村玄一、桜井芳樹)

 そして、いきなり原ならではの乾いた哀愁の音色のバンジョーがメロディ。発売前のライヴでは2度程演奏しているが、今回ようやくアレンジがまとまった。当初の田村作曲の部分はもっとラウンジ感が強く、桜井がアストル・ピアソラ風のフレーズをつなぎ合わせたりしたアレンジを施していたが、後に3拍子の部分を桜井が書き加え今の形になった。しかし、やはりラウンジ感は必要だったので、リズムボックスは使用。ここで言う南とは南国土佐や常夏のハワイでは無く、南半球での南、なのでスペイン語のタイトルも付けてみたが、感覚で言ったら日本人にとっては、北、に近いのだろう。最果てに向かう途中のたわいもない出来事のような曲、とでも言おうか。


3. 二十世紀旗手  - 20 SEIKI KISHU -(桜井芳樹)

 でも、ここではもう南に向かう事はどうでもよくなっているのか、そんなものはただの噂だった、という感じで演奏。リフを組み合わせただけのシンプルなこの曲はもともと桜井が参加するSTRADAの1stアルバム『山道』に収録された楽曲。1994年頃の作曲で、タイトルは太宰治からの拝借。当時はキングクリムゾンみたいな曲と言われた事があったが、実はキングクリムゾンをほとんど知らず、本当はDollar Brandみたいにやってみたかったのだ。ロンサムストリングスではSTRADA版は全く無視して、演奏のガイドもかねて仮のアコースティックギターをベーシックにまったりとやった。が、その仮のアコースティックギターをミックス時に復活させるとなかなか不思議な塩梅。なのでこの曲は5トラック。田村は怪しげに音を響かせ、原は要所要所でブルーグラス・リックを弾きつつもすぐ自分の仕事に戻る。桜井だけが妙にはしゃいでいるのは、仕方がない事か(笑)。



22:19:34 | skri | | TrackBacks
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