Complete text -- "合掌"

26 July

合掌


 杉浦日向子さんが亡くなられた。驚いた。『お江戸でござる』はたまに見ていたが、なによりも杉浦さんの、まるでその時代を生きていたかのような解説を楽しみにしていた。もちろん、博学であられる事は承知だが、育ちの良さというか品の良さが自然にあらわれた話っぷりで、時間の流れがぐんとおそくなるのが、心地よかった。

 青林堂からでていた漫画単行本はほとんど読んでいるはずだが、今、手元には一冊も無い。最近の単行本も本屋で手にとってはいたが、購入したのは蕎麦屋の本だけで、江戸文化考証のものは、いつか時間がある時に、と後回しになってしまっていた。

 今でこそ、漫画はあまり読まなくなったが、80年代はガロ=青林堂を中心に結構よんだ時期もあった。つげ義春は既に別格という感じだったが、蛭子能収、花輪和一、近藤ようこ、杉浦日向子の新作は必ずと言って良い程、読んでいた。
 その後、時期はずれるだろうがおおまかに言うと、蛭子能収はテレビにも出る様になり、花輪和一は刑務所の中、近藤ようこはますます寡作に、そして杉浦日向子は漫画をやめた。

 私も熱心に漫画を読まなくなった。

 一度でいいから、杉浦さんと蕎麦屋で飲みたかったなぁ。

 御冥福をお祈りします。

01:39:24 | skri | | TrackBacks
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