Archive for 03 December 2017

03 December

Kirk


 この間のホープ&マッカラーズのライヴの時、関島さんと高岡くんがローランド・カークの映画公開の話をしていた。カークフリークの高岡君によると、結構珍しい映像らしい。私も是非観たいと思ったのだが、何と12月2日の1日のみの公開。残念。既にスケジュールは埋っていた。

 カークは私も大好きで所有するジャズメンのアルバムとしては、レコードとCD合わせると10枚は優に越える。枚数で言えばマイルス、ミンガスの次くらいだ。(ミンガスのうち2枚くらいはカーク参加だが)

 盲目のあげく奏法の無理もあったか、体を壊し、晩年はその体に合わせ楽器も改造し、録音を残している。これがまた素晴らしい。

 とりとめが無いが、一つ思い出を。
 20代半ばからやっていたミスタークリスマスというバンド(元ヴィブラストーン今は面影ラッキーホールの横銭ユージds、COLDFEETや他にも大活躍のWatusi、栗コーダーのおなじみ川口義之、最近会ってないけどスピッツのサポートはやってるのかな、の久慈ひろこ。凄腕ベーシスト岡ゆうぞう。ベースもファンキーだがパーカッションの仕事も多い管逸朗。サンセッツやハイポジやっていたピノアキラ、そしてエマーソン北村、故篠田昌已、関島岳郎、ヨーカン。等等の人材)が空中分解し、いろいろ誘われてギタリストの仕事を得た訳です。

 とは言うものも、何でも弾ける訳ではなく、現場では苦労したことも少なく無いし、肉体的運動的に左手の指は早くは動きません。これはギターを弾き始めた時から、眼中に無かったので訓練もしていないのです。

 30歳をちょっと過ぎたそんなころ、バンドネオンの小松亮太君のバンドに参加しました。音符の多い真っ黒い譜面が送られて来て、練習して本番に臨むのですが、バンドネオンやバイオリン、ピアノとハモったり、ユニゾンのフレーズが多いのです。そして本番になると高揚するのでテンポが撒かれる場面も多々ありました。私の早く弾ける限界を超えていたのですが、ハンマリングやプリングで乗り切りつつ、駄目だった場面も少なくは無かったと思います。

 そんな小松亮太君のツアー、多分二回目の静岡だったと思います。本番終わって、なんとかやれやれ乗り切ったかな、と楽屋で片付けていたら、一人の車椅子の初老のご夫人が尋ねてきました。「ギターの方はどなた?」を言われたので、私は挨拶をしに行ったのですが、彼女は車椅子のみならず全盲でした。「あなたの音がとっても良かったの、握手して下さる?」

 時折このことを思い出し、精進する日々なのです。


02:10:00 | skri | No comments | TrackBacks