Archive for 21 June 2013

21 June

今日のレコード 1


 最近、レコードを良く買うようになった。オリジナル盤や稀少盤で無ければ、とても安価だ。それにレコード洗浄の方法もいろいろ試したく、わざと盤質の悪いものも買ったりしている。もともとそれなりにレコードは持っているのだが、聴き親しんだもの、またはほとんど聴いていないものも合わせて再クリーニングし音質を確かめつつ、最低一日1枚はじっくり聴く。聴くことも音楽家の重要な仕事、とは誰の言葉かは忘れたが、良く無いと思っていたものも含め、少しずつ再検証しているのだ。どんなに駄作だと言われているものでも、たいていの場合は相当なエネルギーを使い、心血を注いでいるはずなので、失敗に終わったものも面白さは必ずあるはずだろう、と思っているが、まあ、好みとはまた別の話でもあるか。と言うわけで、本日の1枚。

 Leopoldo Federico / Che Bandoneon (1979)

 ジャケットは日本盤のみかも知れないが、表一の写真がとても良い。この蛇腹の曲線と開き方で響きが伝わるのだ。ちょっとカメラ目線を外し気味のお茶目さは、親しみやすい巨匠とも言えるか。おもわずジャケット買いした1枚である。
 全曲、バンドネオン独奏のこのアルバム、実は私が知っている曲は半分くらいしか無い。小松亮太君等でもう15年くらいはそれなりにタンゴの仕事もしているのだが、曲名がスペイン語の所為もあり、演奏したことが無い曲はすぐにはなかなか認識出来ない。やったことがある曲でも、タンゴの場合は編曲で競う側面も多く、すぐには曲名が分からなかったりするのだが、まあ私の勉強不足でもある。ところが一聴でのめり込んだのは、もう何回も聴き親しんだフレーズのオンパレードだったからなのだ。全てが的確でしかも余裕に溢れている。特に左手の音色たるや、もう片チャンネルだけで聴き入りたい瞬間すらある。

 難を言えば、左右のチャンネルが逆だったらこちらに向いてくれる事。そのまま聴くとフェデリコの後ろから聴いている状態なのだ。アンプでリバースするのも試してみたが、数回聴くうちにオリジナルに慣れてしまった。あと、ちょっとリバーブが長いか。小音量で聴くと曲によっては深さは然程気にならなくなるが、このリバーブがもう少し押さえ目であったなら、もっと太いバンドネオンの音を堪能できたと思うが、まあ些細な事か。


 


22:00:00 | skri | No comments | TrackBacks