Archive for 08 April 2009

08 April

BLOSSOM text part 2



4. BLACKBERRY BLOSSOM (traditional)

 なので、これはクールダウン。ブルーグラスの有名なチューンの一つで、原にこの曲の事を尋ねると、即座に高速で弾き始めた。桜井はNorman Blake & Tony Rice版でこの曲を知ったのだが、原の演奏を聴いて、ものにしたいと思い練習するが一向に早く弾く事が出来ない、というより、メロディにより親しみを憶えたのか、どんどん遅くなっているではないか。と言う訳で、遅いテンポのままにこの高速チューンはロンサムストリングスのレパートリーになる。そして、こんなテンポで演奏するヴァージョンなんて無いだろうと、ほくそ笑んでいたら、既にBill Frisellが同じようなテンポでやっていた。なので、原の力を借り、後半部はロンサムストリングスなりの速さで演奏、バンジョーの独奏を含み「誰が荒野を目指すのか」(CANDELA所収)とメドレー形式でやっていたのが2006年。シンプルに演奏して録音をするという今回のアルバムの趣旨に沿っていたので、単独で収録する事にした。ただし、今回は後半部を6/8拍子のジグにしてみた。あたりまえだがアイルランド民謡みたいになった。ライヴでやりなれていた所為もあり、全員がほとんどテイクを重ねる事無く録音された。こういうテイクはミックスも早いのだ。


5. 土地の名  - THE NAME OF THE LAND - (桜井芳樹)

 それに比べ、この曲は演奏、ミックスとも少し手こずった。間が取りづらく、音数が増えてしまう。なので、メンバーそれぞれ少しテイクを重ね、多少ストイックとも言えるものに仕上がったが、ミックスの最中に何度も睡魔に襲われた、ということは程よい塩梅のストイックさが成功した証だ。録音中、松永に、本当は具体的な土地の名前をタイトルにつけたかったのか、と問われたが、もともとその気は無かった。ただ、それでも良かった。これを聴いて特定の場所を想起する人がいるかもしれない、人にはそれぞれ場所があり歴史がある、それらをふと思い出したりするかもしれない。また、睡魔を誘う曲とも言えるので、それは夢かもしれない。そんなこと含め、土地(または場所)、という言葉を使ってみただけなのだ。


6. INBETWEENIES (Ian Dury、Chaz Jankel)

 そんな特定するのか、しないのか、といった曲の後に、1979年のIan Dury & The Blockheadsのヒットアルバム『DO IT YOURSELF』の一曲目のカバー、といったらある人にとっては特定されること間違いなし。単に桜井の天の邪鬼さが出た選曲及び曲順だ。(ちなみに桜井が見た来日アーティストのベスト・コンサートの一つがIan Dury & The Blockheads初来日の後楽園ホール) 間奏に少し手を加えた以外はさしたるアレンジはしなかった。唯一今回初めて演奏する曲で、プリプロダクションで譜面を見せたら、松永がサビを口ずさみながら、すぐさまリフを弾きだした。ベーシストNorman Watt Royにそっくりだった。Ian Duryを知っている人は原曲を聴きなおしてみたくなり、知らない人は聴いてみようと言う気になったりすれば、このカバーは成功なのだ。


13:23:08 | skri | No comments | TrackBacks