Archive for January 2006

06 January

車修理


 急に車を修理しなければならなくなった。昨年のちょうど今頃は車検だったのだが、10万キロ以上乗っていると、まあガタも来る。
 電話でディーラーに確認し、小一時間の待ち時間で修理完了との事。なので、来週の仕事には差し支えない。早速、修理を依頼。
 
 新年の所為か、ディーラーも思いのほか忙しくは無さそうだ。待ち時間の間、5分おきくらいに、受け付けのお姉さんが、コーヒーをすすめてくれるが、既に三杯飲んでいる。待ち時間、30分経過。
 手っ取り早く終るだろうと思っていたので、文庫本の一冊も持たずに家を出たわけだが、おかげで、普段はまず読む事のない、外車方面の車雑誌や、外車広告の多いグルメ雑誌やファッション雑誌をめくり時間を潰す。一時間経過。
 ファッション雑誌を見ていると、さして欲しいとも思わない、時計やスーツを選り好みしている自分に気づく。欲しく無いのに物欲が増すな、これは。ぱらぱらめくると、隠れ家的温泉や飲食店の記事、いったいどれだけの人たちが、隠れなければならんのだ、と思いつつ、創作料理や店のインテリアには感心したりもする。(だが、今憶えてるのは、酒の銘柄くらいだ)一時間半経過。
 ここまで、20冊程のそのような雑誌をめくり、時間が経つ。ちょっとかかり過ぎじゃないか?と担当に尋ねると、電気系統の別の不具合でもう少し時間をくれ、の事。
 しかたない、と思うや否や、担当は私の車が古いのをいい事に、ひかえめなセールストーク。そして、新型のカタログを軽く説明して、仕事に戻る。私は他に読むものも無くなったので、カタログのスペックまで目を通してみる。
 仕事柄か、純正のオーディオ装置に目がいく。元がヨーロッパ車の所為か、最新型なのに今どき「6連奏CDプレーヤー」が純正。
 意地悪く、ipodをつなげる外部端子は?と、尋ねると、うちでは無理、との返事、そして、CDなしでカセットにして、アダプターを利用されては、との答え。
 それは、私の現状のカーオーディオ、とは答えなかったが、音楽で糧を得ている身としては、ちょっと考えさせられた。

 まずは、ipodと言って、その担当に伝わったかどうかは、その対応からちょっと疑問だ。(私のは懸賞品のipod shuffle、2ヵ月程前より車用に使い始めた)要するに外部音源なのだが、なんだか、特別な音響装置、とでも思っているように感じたのだ。
 最近では車の中でカセットを聴く事は滅多に無いが、昔は車用に編集カセットを良く作ったものだった。(ダッシュボードの中には未だに家内が作ったカセットが入っている。彼女が作ったテープは何時でもアル・クーパーが入っている)昔のように、好きな曲ばかり選りすぐるわけでは無いが、その時気にいったCDを丸ごと入れ、車の中でシャッフルして楽しんでいるのだから、お気に入りのカセットとそう大差はない。(もちろん、手間と吟味と思い入れは大分薄いが、、、ってそれが重要か)だが、ipodに限らず、HDD(もしくはSDとはCFとかメディアの違いはあれ)プレーヤーというものは、実はそう知られてはいないのではないか、と。もちろん国産のカーオーディオは積極的に外部端子を装備したりしているもの増えてきたようだが。まあ、そんな事は些細な事、で、音楽を聴くためにハードを変えていく人は一般的にそう多くは無い気もする。
 事実、私は車中ではカセット・アダプターが無ければ、カセット以外のメディアは使用出来ないし、そう不自由を感じた事も無い。だいたい、ipodを使ってはいるが、あんな小さなものに圧縮して音を悪くしてまで、音楽を詰め込んでどうするのだ、とも思うが、私も車の中ではMP3だ。車中ではMP3で問題ないが、家ではやはり音の悪さは耳につく。が、一般的にはまあ、そうでも無いのだろう。

 現状ではCDもしくはLPを家では聴いているわけだが、この微妙なHDDプレーヤーの認知度を差し引いても、将来、音楽作品において、それらのパッケージ・メディアは無くなるであろう事は簡単に想像がつく。そんな事を嘆いたりもしないし、悲しいとも思わない。ただ、私のような昭和三十年代後半生まれの人間は、パッケージされると言う事を無意識に念頭において、作品を作っている気もする。(その辺はちょっともやもやで、その所為でロンサムのミックスが進まない、というのは、まあ言い訳)

 ただ、パッケージされなかったら、出会わなかった音楽も多いわけではある。

 実は、今世紀に入った頃、昔の音源の再発CDはちょっと意識して聴かないようにしていた。とは言うものの、このパッケージ文化のおかげで、チャーリー・パットンを自分の中で再発見したわけだし、その他の幾つかのリマスター盤も驚く程知らない事を明らかにしてくれた。

 そんな事を経験して、4年程経つと、パッケージのおかげで(まあ店頭ということだが)知る事が出来た音源に多々出会う。どうやら昨年は一昨年よりはCDを買ったようだが、どうやら古いものも多い。が、今年発売という事ではもはや同列だ。私の中では。
 たとえば、バシュティ・バニヤンの35年ぶりの新譜とJust Another Diamond Dayをipodでシャッフルして車の中でなんとなく聴いていても、そうは変わらないのだな。聴いた人ならわかると思うが、それはそれで素晴らしいことだ。たかだか、35年だ。
 50年前なんて、俺は生まれちゃいないが、そんな昔じゃないし、日米安保だって、今だ進行形なのだ。

 なんてことを考えていたら、車の修理は結局ままならず、代車を用意してもらって、帰った。待ち時間、2時間ちょっと。

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