Archive for 30 August 2005

30 August

マジョルカにて 3


 実はマジョルカに到着した夜、いきなりの災難、ロストバゲージの目にあった。しかもメンバー全員とマネージャー、スタッフ計8人全員分だ。
 その夜は到着が遅かったので、対応がままならず、なんだか歯がゆい思いで眠りに着く。

 翌朝、9個の荷物がロンドンもしくはマドリッドにある事判明。8人で9個、コントラバスは現地レンタル、バンドネオンとバイオリンは手持ち、そう、ギターだけは預けなければならなかったのだ。

 こういう事もあるかもしれないと、想定はしていたので、楽譜、ピック等とギター本体を別々にしていたのだが、2つともロストバゲージじゃあ仕方ない。
 落ち着かない思いでその日をすごしたが、夜、地元S氏の計らいで、全員の荷物が届く。

 早速、部屋で楽器の確認。MADRID-RUSHというイベリア航空のステッカーが貼られ、なんとなく嫌な思いでケースを開けると、なんとボディ部が埃でかなり白ばんでいる。前にも経験があるのだが、f穴からの埃の所為なのだ。が、こんなにひどいのは初めてだ。ぽろんと鳴らしてみると、チューニングもべろべろ(飛行機にあずける時は一音程下げてチューニングしているので、確認がたやすい、本当はもっと緩めた方が良いようだが)。ああ、嫌な予感。良く見るとフロントピックアップはカバーの中で、ボディ内部に埋没し、リアピックアップのネジは弦に触るほど、弛んでいるし、ヴォリュームノブは外れているし、その他いたるところのネジが弛んでいる、とさんざんな状況。幸い、ボディの構造自体は損傷はなく、+と-ドライバーで応急処置ができそうだった。がこんな時に限って、簡易の修理キットを持って来ていない。早速フロントに尋ねると、これしかない、と渡されたのが、地図上の発電所のマークのようなネジ穴用のもの、あまりにも特殊だったので見とれてしまった。
 幸い、亮太くんがバンドネオン修理キットを持ってきていたので、ドライバーのネジ穴のサイズは合わないのだが、時間をかけて応急処置完了。

 それにしても、飛行機での運搬というのは、毎回悩みのタネ。おかげでケースはぼろぼろ。補修のガムテープは案外もろく、実は三重になっていたりもする。そういえば、ボブ・ブロズマンの楽器ケースはかなり頑丈なものだったが、補修用のガムテープでギターケースの形が変わる程だった。本人曰く「これがクッションになってくれている」との事。

 この間、グァテマラから帰ってきた坂本弘道さん曰く「チェロケースは案外低価格のもの」が頑丈らしい。低価格といってもギターケースよりははるかに高いし、だいたい、飛行機にチェロをあずけるミュージシャンは坂本さんくらいしか知らない。とはいえ、チェロくらいの大きさになると座席をもう一つ確保することになるので、経費がかさむ。

 マジョルカからの帰り、空港でチェックインしたら、ギターを持っての搭乗が許された。さすがギターの国スペイン。フランクフルトからは、満席で預けざるを得なかったが、ANAの対応でかなり丁寧に扱ってくれ一安心。

 昨年、台湾に行った時、迂闊にもソフトケースにしてしまった。チェックインで相当粘ったが、もう一席確保しろ、の一点張り。やむなく、梱包に立ち会う事を条件にあずける事にした。引っ越しとかで使う、あのプチプチで5重、6重にもまかれ、なんだか訳の分からんオブジェ状になった。が、その時の帰国はすんなり機内に持ち込めた。

 大分前、ナッシュビルでもあずける事になったが、ものすごく丁寧にあつかってくれた。あずける前に「まず弦を弛めろ」と念を押された。成田で出てきた時、ケースに傷一つなかった。

 それにしてもケース新調しなきゃな。


 

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