Archive for 29 March 2005

29 March

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の六●



9. sightseeing at the Landshaftspark,Duisburg-Nord

 アルバム制作中、一番最後に出来た曲で録音も最終盤だった。当初はベーシックのエレクトリック・ピアノがかなり曲を支配していたので、メンバーはそれぞれそのベーシックに重ねていくやり方で進めた。正直なところ、ものすごく曖昧にしよう、と思っていた以外にさしたるビジョンは無く、とりあえず進行していた。が、玄さんがLap Sitarをダビングしたあたりから、見え始め、ベーシックのエレクトリック・ピアノを大幅にガット・ギターに差し換え、とりあえず、秋葉原のスタジオでの作業は終了した。
 楽曲のタイトルは譜面を書いた時の仮タイトル、ほぼそのままである。よく、ロンサム・ストリングスの楽曲は景色が浮かぶとか、ロードムーヴィーのようだ、と評される事があるが、風景や場所を特定したのは、この曲だけだが、アルバムに収められた今、その特定はどうでもいい。
 Landshaftsparkというのは、ドイツ、デュイスブルグ北にある製鉄所跡地の公園。2000年と2002年のシカラムータのヨーロッパツアーで訪れた場所で二回とも同じフェスティバル。広い敷地の中に、製鉄所の建造物がほとんど残っているのが特徴で、夜、暗くなると、それらの建物がますます重くなっていくような雰囲気が印象に残っている。下に溶鉱炉らしきものがある鉄塔はこの公園のシンボルともいえる人気の場所だが、日が暮れても入場制限は無く、暗い中、鉄の固まりを尻目に細い階段を登っていくのは、とても緊張を強いるが、嫌いでは無い。ただ、夜、天辺まで登っても、遠景の夜景が綺麗な訳では無く、はればれしない。むしろ、この公園の他の建物が眼下で息を潜めている感じが心地よい。
 2002年に来た時はここに数日滞在したので、この公園をかなり散策する事が出来た。その時出会ったのが、ドイツ人団体の観光客ツアー。二組ほど遭遇したのだが、片方は男性ガイド、もう片方は女性ガイド。鉄のかたまりの中で響くドイツ語が気持ち良く、こっそり建物を説明する様をMDにて録音してみた。
 さて、話は戻る。バンドでの作業終了後、自宅で再び作業に入るが、どうも釈然としない。結局そのまま、土井君に託そうと思ったが、前曲と同じ理由で私がミックスをする事になる。そこからはまた、録音、編集、ミックスの同時進行状態。SEやノイズを入れては消し、入れては消し、で少し時間がかかったが、最後に先述のMDに録音したドイツ人ガイドの声を挿入。
 この曲に限った訳では無いが、マスタリングの高橋健太郎さんの仕事も特筆すべきもの。事実、この曲の全体の感じは私がミックスでは追い込めなかった部分をかなりフォローしてくれているのだ。感謝。


23:55:00 | skri | No comments | TrackBacks