Archive for 25 December 2005

25 December

NADAL ENCARA


 クリスマスを問わず、冬になると密かに聴いているアルバムが、南フランスのロジーナとマルティナのクリスマス・アルバム『NADAL ENCARA』だ。

 

 正確には、Martina e Rosina de PeiraというデュオとFrancesa Daga、Claraの連名の'85年のアルバム。Martina e Rosina de Peiraは他に『le』「TROUBADORS』等の傑作アルバムをリリースしているが、両方とも少しプログレッシブな作り。素朴なパーカッションやエレキベース(80's初期の音色)、フェンダー・ローズにハーディー・ガーディーやシンセ、バグパイプ、カリンバを適宜ちりばめているが、風通しは良い。そしてなにより、ロジーナとマルティナ二人の歌が逞しい。発売時期は『le』が'82年、『TROBADORS』は分からないが、レコード番号から察すると、'83〜’84頃か。ちなみにこの二枚のレコード、アーティスト名はRosina de Peira e Martinaとなっており、こちらが正式名称のようなので検索はご注意を。

 さて、この『NADAL ENCARA』だが、先の二枚とは趣が少し異なり、女性四人の歌声のみで成り立っているとは思えない程のものすごい広がりを感じるのだが、親密感もある。あたたかい。

 私が持っているCDは'89年に発売された日本盤で、解説によると『NADAL ENCARA』とは現代フランス語ではNoel Encore(クリスマスの歌をもう一度)と言う意味。このアルバムは全編オック語で歌われているのだ。さらに解説を引用すると、ここで歌われている楽曲は、オック語文化圏(ロワール河以南)に属する南仏のプロヴァンス、オーヴェルニュ、リムーザン、ガスコーニュ、ラングドック(位置的にはプロヴァンスから反時計回り)等のオクシタン地方に古くから伝わるクリスマス・キャロルなのだ。
 それにしても、オック語のなんと美しい事か。

 ちなみにコンポステラ『歩く人』の「オクタニア地方の民謡より」は『NADAL ENCARA』の「Guilhon Pren Ton Tamborin」。(正確に言うとオクシタニアまたはオクシタン地方)コンポステラは他にもこのアルバムから数曲とりあげていたが、どれも素晴らしかったなぁ。


 そういえば、数年前のシカラムータの欧州ツアー時、南仏のとある村の教会でのライヴ、関島さんとデュオで「Guilhon Pren Ton Tamborin」をやった気がする、が、定かではない。ただ、リコーダーの響きがとても良かった事と坂本さんが祭壇で火花を出していた事はよく憶えている。


23:57:51 | skri | No comments | TrackBacks