Archive for November 2004

09 November

Lonesome Strings -vol.2- new lost city ramblers ●text 其の四●



7. bear creek song goes to new lost city

 このバンドでの初の田村玄一さん提供オリジナル曲。玄さんに曲を発注してから、そう待たずにこの曲のデモMDを受け取ったのだが、既にデモという感じでは無く、独りの演奏で完成していた。それくらい素晴らしい演奏で、一時はこのデモのままアルバムに収録した方が良いのでは、と思ったくらいだった。ただ、正直なところ、玄さんの曲がこのような曲である予想は無かった。何故なら当時、Pineapple Sugar Hawaiian Band『P.S.』を愛聴していて、中でも玄さんのオリジナル曲は素晴らしく、そんなメローな味わいを少し望んでいた所為だろう。だが、この「bear creek song」(オリジナルタイトル)シンプルな造りで味わい深いが、実にポップ。そして曲を受け取ってから大分経ってこの曲をアレンジする方向へ。もともとメロディのスローパートとドローンのインプロヴィゼーションのみで成り立っていた曲をテンポチェンジする事を思い付いた。しかもリズムは「西部劇」。そしてそのきっかけとして、ギター、バンジョー、マンドリンのユニゾンのメロディを加え、そのテンポでソロ(リゾネーターとエレキ)を回し、そのままテーマに戻る、という青写真が徐々に明確になる。アレンジ段階でテンポアップのユニゾン部がリールというかホーンパイプというか、そういう影響が色濃く出たものになってしまったが、そういうのを演奏するのやはり楽しいのだから仕方が無い。そして、ほんの少しのイントロをくっつけてアレンジは完成。録音はベーシックを速やかに取り終え、楽しくダビング。エレキギターのダビングの最中に最後のバースの対旋律を思い付き、ほぼ完成。最後の最後に最初の玄さんのワイゼンボーン・ソロの部分にほんの少しSEを加え完成。
 曲タイトルは私が大幅に後半をアレンジしたので、その部分が「goes to new lost city」という事になるが、玄さんのポップ感覚がこの曲をこの形にさせたとも言える。表記上だけだが、A面ラストに相応しいアルバム代表曲の一つ。

 曲が終わってから、アナログ盤の針ノイズが聴こえるが、これは1stでもやっている。たいした事では無いが、一度やったことは、飽きずにもう一度やるという姿勢の表れか。なので、1stと同じ針ノイズを使用した。


23:57:00 | skri | No comments | TrackBacks