Complete text -- "Sometimes I Just Feel Like Smilin'"

29 June

Sometimes I Just Feel Like Smilin'


 週末は栗コーダーカルテットの録音。先々週も栗コーダーの録音があったのだが、その時はファイルをいただいて、自宅で済ませたが、今回はスタジオにて。スタジオ録音でも一人で演奏することは少なくは無いが、自宅のように全く一人ということはまず無い。今回は栗コーダーのメンバー以外に中尾勘二、太田惠資両氏に会えたのも、嬉しかった。

 さて、週明けて今週は久しぶりの原稿仕事。〆切は週末だが、乗ってくると早い。もう3分の2の字数が埋まってしまった。逆に纏めるのが、難しくなりそうだ。なので、一息入れようと街に行く。今回の原稿資料はmp3なので、(というか新譜の音源に対する資料はもうだいぶ前からmp3だ。)正規盤を買うつもりだった。あまりにも素晴らしいのでやはりもっときちんとした音で聴きたかったのだが、コロナ禍の所為か、輸入盤はまだ店頭には無かった。

 他のものを買うつもりは無かったのだが、つい中古盤を少しだけ見てみると、バターフィールド・ブルース・バンドの最終作 Sometimes I Just Feel Like Smilin' のU.S.オリジナル盤が安価であるでは無いか。実はこのレコードは当時の国内盤の見本盤を持っていて、結構音が良いと感じていたのだが、一箇所カッティング段階だと思うが、レベルを急に下げた曲があり、まあ、見本盤ならではか、と納得していた。昨年だったか、今年の春に実店舗はやめて通販のみになってしまった鷹の台のビュグラーでこのオリジナル盤らしきものを見かけたのだが、店主も確信が持てぬ、ということで結局買わなかった。

 しかし今回のものは確実に1stプレス。レコード中袋がもうジャケットと同じ写真のデザインとポール・バターフィールドのインタビューまである。

 家に帰ると、妻が「これ持ってるでしょ、よく聴いているの知ってる」と返してきたので、これこれしかじか、と説明をして、早速かけてみると、彼女が目を丸くするくらい、別物の素晴らしい音だ。リヴァーヴの感触が手に取るようだ。(ちなみに最近またカートリッジはDL-103に落ち着いてしまった。)

 このアルバム、内容としては少し散漫だと思っていたのだが、とんでもなかった。バターフィールドとこの頃の中心人物ジーン・ディンウィディの意図は明確でまとめ上げているのがここではよくわかるのだ。

 気になるクレジットはRe-Mixing Engineer FRITZ RICHMOND / Mixing TODD RUNDGREN。最終ではリッチモンドがミックスしたのだろうが、わざわざラングレンのクレジットがあるという事は、貢献はかなりあったのだろう。が、私の知るトッド・ラングレンの音よりも華やかだ。

 私はオリジナル盤信仰は無いのだが、今回は本当に驚いた。'60年代後期から'70年代前半は技術革新甚だしく、それは英、米、日、もちろん他の国も、相当に差があった事だろう。誰だったか忘れたがアメリカ人のエンジニアが当時のイギリスのマスタリング、カッティング技術に追いつけなかった、みたいな談話を読んだことがある。
 
 結局はアナログのコピー製造なので、当時としては当たり前の仕方がない事実だが、ここにきて今日のCD及びデジタルは手軽にオリジナルに近いので、それは悪くはない。

 さて、もう一仕事。

23:10:00 | skri | | TrackBacks
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