Archive for 11 September 2018

11 September

レコード千夜一夜 第二夜 1976 プレイリスト



随分時間が経ってしまいましたが、今月15日の第三回の予告をかね、前回6月の「桜井芳樹のレコード千夜一夜 - 第二回」プレイリストをまとめました。

桜井芳樹のレコード千夜一夜 - 第二夜 1976

●オープニング
1. Marshall Tucker Band / This Ol' Cowboy (1974)
当時のFENで初めて聴き探し求めた曲。変形のルンバ・ビートとの拡大解釈も出来なくは無いが、多分ウエスタン・スイングの影響。2拍4拍の裏にキックが入り、フィルは必ず6連、繰り返すことによる魂の注入方法。フィドルはノンリバーブ、リードギターは走り、リフ、フルートの有機的なヘッドアレンジがジャケットの市井感とともに最高のサルーン・バンドを感じさせるが、これは他の彼らのアルバムにはあまりない親近感なのだ。

●図書館、音楽雑誌、クラスメイト、レコード屋
2. Michel Polnareff / Fame a la Mode (1975)
FM雑誌で大きく取り上げられていたポルナレフのアメリカ録音。イントロ一瞬リズムの少しのよれがあるが、逆にこのショー仕立ての楽曲の演出には悪く無い。当時のフランスでは出来なかったことをやりたかったんだろうな。曲中の喋りはルイス・フューレイ。エンドのトランペット・ボイスのポルナレフはお見事。

3. Humble Pie / Earth & Water Song (1970)
クラスメイトのT君に聴かせてもらったピーター・フランプトン。奇しくも同時期ハンブルパイのライヴ盤を図書館で借りていたのだった。”ビアズリー・アルバム"から、フランプトンの曲。彼は何故その後トーキング・モジュレーターを使ってみたのか、この曲を聴くとなんとなく頷ける。

4. Eagles / Journey of Sorcerer (1975)
そのT君が積極的に押して来たのがイーグルス。この曲は『呪われた夜』収録のインストだが、このアルバムでのバーニー・レドンの貢献には目を見張る。既に大げさなアメリカーナ。バンジョーのクロウハンマーにストリングス。フィドルはデヴィッド・ブロムバーグ。

5. Tom Rush / Rockport Sunday (1968)
私がギターを弾き始めた頃のバイブルとなった「ライト・ミュージック増刊号」。アメリカのフォークやブルースのアコースティック・ギターの大特集でその後数年に渡って、フラット・ピッキングやスリー・フィンガーやラグタイムやブルースに取り組む教本でもあったのだ。何せジョン・フェイフィにインタビューまで載っている。この雑誌で知ったフェイフィと並ぶアメリカン・プリミティヴ・ギタリスト、ブルース・ラングホーンの素晴らしい演奏はトム・ラッシュ作のインスト。

6. Chistine McVie (Perfect) / What You Say (1970)
T君はどちらかと言うと私よりはポップな音楽が好みだったようで、他にはフリートウッド・マックやELOもよく聴かせてくれた。ダニー・カーワン追悼でクリスティーン・マクビーの最初のソロアルバムから。

7. Steve Miller Band/ In My Dark Hour (1969)
スティーヴ・ミラー・バンドの「Fly Like an Eagle」も最初はT君経由だったけど、ラジオでよくかかりましたな。これはFly Like〜同じようなリフを使って、ポール・マッカートニーと二人で完成させた曲。まだこの時点ではミラーのロックのツボはマッカートニーに惑わされている。

8. Stephen Stills / Wooden Ship (1975)
まだギターを買う前に金町のワカナ堂というレコード店に行ってはギターを眺めていた。店員に一声かけないとおいそれと触れる代物ではなく、本当にただただ学校帰りに見ていただけだった。このワカナ堂、少ないけれど輸入盤も扱っていて、当時『イリーガル・スティルス』が入ったばかりであったが、ニュー・ミュージック・マガジンで中村とうよう氏が貶していて、買わなかった。暫く経って図書館で借りたCSN&Yのベスト盤が気に入り、中でも好きだったこの曲を。ここではスティルスのライブ盤から。

9. Janis Ian / I Would Like to Dance (1976)
図書館にはサルサのレコードが少なく無かった。当時国内盤で結構発売されたのだ。ニュー・ミュージック・マガジンで紹介されたものはかなり借りられた。そんな中この1976年にジャニス・イアンがサルサアレンジの曲をやっていて、これがラリー・ハーロウとオーケストラ・ハーロウのアレンジと伴奏。ドラム入りだが、ティンバレスはそれなりに目立つもミックスはカラオケっぽく残念。

●ブルース、ミッドナイトマガジン
10. Luther Allison / The Bum is Mine (1976)
当時のニュー・ミュージック・マガジンはFMで番組を持っていて、夜中の放送だが、よく聴いていた。それがミッドナイトマガジンでDJは中村とうよう氏。ルーサー・アリソンのこのアルバム『ナイト・ライフ』が新譜紹介でかかったのはよく覚えている。ギターソロは押弦とスライドを使い分けていて面白い。ザ・ブルース誌ではかなりの酷評だったが。

11. James Cotton Band / Goodbye My Lady (1976)
これもザ・ブルース誌で賛否両論だったジェイムズ・コットン・バンドのライヴ盤より。私は大好きなライヴ盤。キックが多めなのはちょっと目をつぶるとしよう。マット・マーフィー追悼。

12. B.B.King / Summer in the City (1972)
この1976年ジョン・セバスチャン「Welcome Back」の大ヒットでラヴィン・スプーンフルを知る。そのヒット曲のカバー。アルバム『Guess Who』より。その前のアルバムでレオン・ラッセル「ハミングバード」をカバーしているのだが、これがなかなかマイナー短三度の音がシャープしていて、要するにブルーノートの感覚で歌っているのだ。この曲はしっかりマイナーになっており、これが後の「スリル・イズ・ゴーン」のヒットに繋がるのではないか。ジョー・ザガリノ、プロデュース。

●ラスト・ワルツ小特集
13. Ringo Starr / This be Called a Song (1976)
1976新春のレコードバーゲンでザ・バンド『カフーツ』とボブ・ディラン&ザ・バンド『偉大なる復活』を購入。偶然デパートBGMで耳にした「ライク・ア・ローリング・ストーン」の知らないバージョンに打たれたのだ。奇しくもその年の晩秋にラスト・ワルツ。その映画の最後の方に少し出てくるリンゴ・スターのアルバムからエリック・クラプトンが書いた曲。ビートルズとデラニー&ボニーと足した感じだが、何故かスティールパン入り。

14. Staples Singers / Solan Bushi (1970)
パービス・ステイプルズ参加の最後のアルバムより。なんとソーラン節でアレンジもパービス。こりゃ面白い。アルバム・プロデュースはスティーヴ・クロッパー

●プレゼント・レコード
15. Beach Boys / I Know There's an Answer (1966)
大名盤『ペット・サウンズ』が今回のプレゼントレコード。30年くらい前の日本盤。再生するのが案外難しいレコードですね。’76年当時『15 Big One』がリリースされブライアン・ウィルソン復活なんて言われたけど、全然まだまだ。ちなみに私が最初にビーチ・ボーイズを聴いたのも'76年頃で、図書館で借りた二枚組ライブ『イン・コンサート』ブロンディ・チャンプリンとリッキー・ファッター入りでした。

●今日のカバー曲&ソウル玉2軍から
16. Judas Preist / Green Manalishi (1979)
ソウル玉の裏のレコード棚から選んだ12インチ。ダニー・カーワン追悼も兼ねて。45回転の12インチ、素晴らしい音圧です。

●異国から
17. Exile One / Eldorado Main Road (1976)
日本盤で出たのは1977年。これも図書館より。とにかくこのギターのカッティングが好きで好きで。小アンティル諸島ドミニカのバンド。

●〆の一曲
18. Sammy Walker / Brown Eyed Georgia Darlin' (1976)
今回は1976年で〆。私が弾き語りの歌手をプロデュースする時は少なからずサミー・ウォーカーのこのアルバムを頭の片隅に入れているかも知れません。

*休憩の10インチは The Three Suns / Three Suns Highlight のA面。

次回の9月15日は私が初めてコンサートに行った1977年です。’76年からの話の続きも少なく無いと思います。

9/15@阿佐ヶ谷ソウル玉トウキョウ
20:00〜
チャージ 500円


15:30:07 | skri | No comments | TrackBacks